このたび,令和4年度の受賞科目が以下のとおり決定しましたので,お知らせします。

受賞科目

受賞科目
ダイバーシティ&インクルージョン概論
担当教員
教育推進機構 池谷 航介 准教授
選考理由

 この科目では,すべての人々が平等な権利を持ち,尊重されるべきであるという人権の原則を学生の日常生活に結び付け,異なるバックグラウンドや特性を持つ人々が差別や偏見に直面することなく,公正な機会を享受できる社会について,身近な内容からの思考の深化が行われています。

 また、授業のオンデマンド動画は字幕を表示しており,専門用語等を活字で確認できる等,全ての学生にとって利点があるコンテンツのユニバーサルデザイン化が成されています。視聴時間の経過が画面上に示される設定もされており,学生の集中力をマネジメントするなど,総合して,学生の授業へのアクセシビリティの向上を図っています。授業のスライドは背景色を黒色,フォントを白色,重要な個所のフォントを黄色にするなど,全体を通して,よりインクルーシブな学習環境の構築が行われており,そこにクリエイティビティや革新性が見られました。

 以上の点から,他の教員の授業改善の参考となる工夫がなされていると考えられるため,令和4年度ティーチング・アワード表彰の表彰科目に選考しました。 

コメント

 この度は栄誉ある賞にご推挙賜り,身が引き締まる思いです。

 本授業の主な目的は,それぞれの受講生の皆さんが自分事として「多様性の包摂される社会の価値」を考えてもらえるようにすることです。その目的ゆえ,これまでの社会とこれからの社会の間で起こる諸問題と,その解決がおよそ一筋縄ではいかないことに触れてもらう話がほとんどでしたので,受講後に暗澹たる気持ちが晴れない皆さんも多かったことだろうと推察いたします。それを圧して受講生の皆さんからこの授業を推薦いただけましたことこそが,なによりこれからの社会に希望がもてますことの証左ではないだろうかと感じました次第です。

 折に触れ,他のどこでもなく岡山大学の皆さんに向けて授業を行っていることに大きな意義があるとお伝えいたしました。それぞれの皆さんが今後歩まれる数多のコミュニティーにおいて,多様性社会の理解を備えたリーダーとなっていかれることを願ってやみません。

 

受賞科目
上級英語/Humor and Cross-Cultural Communication
担当教員

教育推進機構 RUCYNSKI JOHN EDWARD 准教授

選考理由

 この科目は,我々の社会の様々な場面で多用されている「ユーモア」に関して論議し,より深い異文化理解とコミュニケーション力の育成を目的としています。より円滑な異文化コミュニケーションに関して,学生に深く考える機会を提供しており,特に日本人学生,留学生が混在するようグループを編成してグループワークを行い,他者理解,異文化コミュニケーション,よりクリエイティブな英語の運用を促進しています。

 教育方法としては,協働学習を中心に据え,異なるバックグラウンドや経験を持つ学習者がグループで協力し,個々の学習者がもつ異なる視点やアイデアを共有することで,より多様な解決策や知識の構築を図っています。また,筆記課題と口頭発表等,多様な教育アセスメントの活用を通して,個々の学生の様々なスキルの涵養と評価が行われています。コミュニケーション,協調性,リーダーシップ,問題解決能力などのソーシャルスキルの向上にも貢献していると言えます。これらを丁寧に指導・支援する工夫が見られる教材が作成されていました。 

 以上の点から,他の教員の授業改善の参考となる工夫がなされていると考えられるため,令和4年度ティーチング・アワード表彰の表彰科目に選考しました。

コメント

 I am very pleased to receive this award and I would like to thank the selection committee for recognizing the educational merit of such a seemingly unique course theme (humor and cross-cultural communication). I would also like to thank Okayama University for having the initiative and vision to offer courses in which Japanese students and international exchange students can engage in cross-cultural discussions.

 Students from more than 10 different countries took this course, resulting in a true multicultural classroom. We used the overall theme of humor as a springboard for discussing deeper issues, including the benefits and risks of humor in cross-cultural communication and the integration of humor and social issues. The students took a very active role in this course by sharing examples from their respective cultures and developing final presentations based on their independent research.

 Finally, I would like to thank the Ministry of Education, Culture, Sports, Science and Technology (MEXT), as their acceptance of my KAKENHI proposal (19K00909) made the development of this course possible.

受賞科目
有機化学Ⅰ
担当教員
学術研究院環境生命自然科学学域(理) 岡本 秀毅 准教授
選考理由

 この科目は,授業改善の一手として,従来行われてきた板書による説明の代わりに,授業ノートを作成し, Moodle上でその配布を行っています。授業ノートには教科書の重要な内容が抽出されており,講義中の解説とあわせて活用することで,学生が授業内容をより理解しやすくなっています。授業ノートは,学生を授業に集中させ,講義中の思考と理解を促進する工夫と言えます。また,しばしば必要となる分子模型を使った化合物の構造の把握に,学生が折り紙を使って立体的に理解できたり,分子グラフィックスを作製・表示できるフリーウェアでさらに理解を発展させるといった工夫がみられました。これらローテクとハイテクの併用は,多様な学習スタイルへの対応,そして学習の柔軟性と拡張性の向上につながっています。さらには,授業スライドの各所に,どの点が重要なのか,なぜ重要なのか,どの程度重要なのか,次の学習にどのようにつながるのかといったコメントが配置され,情報のわかりやすさ,並びに他の科目や学習との関連性の明示の努力に余念がありません。小テストや提出課題へのフィードバック,学生からの質問へのコメントも丁寧に行っています。 

 以上の点から,他の教員の授業改善の参考となる工夫がなされていると考えられるため,令和4年度ティーチング・アワード表彰の表彰科目に選考しました。

コメント

 この度は,有機化学Iを令和4年度ティチーングワードに選出していただいて光栄に思います。この授業は理学部化学科1年次に割り当てられた専門の必修科目です。コロナ感染症による活動制限下にオンライン授業を経験してきた新入生に対して,当該科目を指導するにあたって次の三点を実践しました。

(1)読めばわかる授業ノート:エッセンスを書き下した授業ノートを配布し,ノートを取る時間を理解する時間へ変換した。

(2)1問だけの課題:毎回の最重要ポイントを出題し理解度の確認とフィードバックコメントによるケアを心がけた。

(3)三次元のイメージ:分子構造をとらえるためのモデルを配布して三次元構造のイメージ定着をはかった。

 これらの結果,受講者は概ね授業の目標に到達したと考えられますが,受講者らが自発的に考えていろいろと思考を発展させるような指導が必要であると考えています。このティーチングアワードを励みとして,今後はそのような授業を展開したいと考えています。最後に,ティーチングアワードに関係の皆さまと推薦してくださいました門田功教授に感謝申し上げます。

 

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