学習・教授支援(CTE)部門の石田衛教授は202466日、歯学部の3年生を対象にした「医療コミュニケーション学演習」の中で、「サーバントリーダーシップ」をテーマとしながら、歯科医療におけるリーダーシップを共に考える学修支援を行いました。

この演習は、歯学部教務委員会下にあるアクティブラーニング部会の先生たちが中心となって、46月で計9回、鹿田キャンパスで実施している授業シリーズです。将来、医療現場に出る学生たちに、さまざまな場面の対人コミュニケーションや、リーダーシップ、患者援助、医療安全などの知識・技能を身につけてもらおう、という狙いがあります。66日は、約50人が受講しました。

石田教授は、双方向のプレゼンアプリ「Mentimeter」を使い、学生のリーダー素養を自己診断してもらったあと、チームメンバーと合意形成をしながら解決するゲーム「NASAテスト」を採り入れました。教室内が盛り上がったところで、再びMentimeterで「グループの意見をまとめるのに必要になった力は?」などと問いかけ、受講者に答えを書いてもらうことで、リーダーシップの考察へと導きます。

石田教授は、「リーダーの目標は奉仕することである」というサーバントリーダーシップの概念を紹介し、傾聴、共感、説得、メンバーの成長、コミュニティーづくりといった10の特性を説明しました。

このあと、グループワークのパート1が始まりました。67人から成るグループごとに、10の特性をそれぞれ象徴するような人物名と理由を書いてもらい、その紙を壁に貼って、全員が見て歩きます。様々な考え方を共有する狙いです。

グループワークのパート2では、各グループが10の特性それぞれを実践するにはどんな方法があるのか、3つずつ記入し、再び全員で共有しました。

最後に石田教授は、再びMentimeterに「この授業で何を学んだか」を書いてもらい、「さまざまなタイプのリーダーシップがあることが分かったと思う。リーダーになるための必要な条件は、サーブ(奉仕)する精神をもつこと。歯科においてサーバントリーダーシップをどのように活かせるか、考え続けてほしい」と締めくくりました。

厚生労働省によると、歯科医師の5割強が院長になっているという現実があります。歯科医師はこのほかにも、医療現場でなんらかのリーダーになる可能性が高いのですが、院内スタッフへの指導や組織マネジメントのスキルについて十分な教育機会がないまま、リーダーになってしまうという実態が課題になってきました。このため石田教授は、学生のうちから効果的なリーダーシップの考えや手法、技能を身につけられるようにと、今回の演習を支援しました。